米海兵隊岩国航空基地 -- 「お返しをする」という行為は、クリスマスシーズンの間、多くの人にとって一般的な思いやりの行為である。岩国基地、海兵第12飛行大隊(MAG-12)の海兵隊員にとって2014年のクリスマスは、この伝統を実践する機会となった。
12月23日、地元の日本人に(普段お世話になっている)お礼を少しでもしようと、MAG-12の海兵隊員が部隊主催のクリスマスパーティで777個の缶詰を集めた。集めた缶詰は、(支援を)必要としている人たちに配る。
「部隊のパーティでサンタクロースの役をしてくれる人を探していました。それで、フードドライブを使って投票しようと思いつきました。缶詰を持ってきて、サンタクロースになってほしい隊員に缶詰で投票するのです。」と話すのは、MAG-12、CBRN防衛専門職のマシュー・アーン伍長。「缶詰一個が一回の投票とみなされます。寄付が十分集まった約一週間後、それぞれのサンタ候補の収集箱に最終的に集まった個数を記録し、その数でサンタクロースを決定しました。」フードドライブとは、『家庭で余っている食べ物を学校や職場などに持ち寄りそれらをまとめて地域の福祉団体や施設、フードバンクなどに寄付する活動』のこと。
結果として寄付の缶詰が大量に集まったため、アーン伍長は日米協会と協力し、この寄付された缶詰を受け取ってくれる施設を探した。
「日本人は寄付やチャリティーにあまり慣れていません。それは宗教的な活動と関係しているからかもしれません。」と話すのは、日米協会ボランティアのマツムラ・ナツコさん。「私達は宗教に基づくチャリティー活動を色々していますが、ほとんどの日本人のライフスタイルは宗教観が強くないので、このような寄付を受け入れてくれる施設は多くありません。」
アーン伍長とマツムラさんは、集まった777個の缶詰の寄付を受け入れてくれる三つの施設を見つけた。その一つが山口県情島(なさけじま)にある児童施設「あけぼの寮」である。62年の歴史を持つあけぼの寮は、400個の缶詰を受け入れてくれた。
「このフードドライブの活動は、海兵隊員としてではなく、一般的なアメリカ人としての私達の親切な気質をを強固なものにしてくれます。」と話すのは、MAG-12、駐在海兵空地任務部隊(MAGTF)プランナーのルーベン・サリナス伍長。
缶詰を届けるためにアーン伍長、サリナス伍長、マツムラさんが小さなフェリーで情島に到着すると、あけぼの寮の子供達が手を振りながら船着場へ走り、3人を出迎えてくれた。
「あけぼの寮の皆さんに会ったとき、私達が持ってきた缶詰を見て、みんなとても驚いていました。素晴らしい体験でした。」とアーン伍長。「誰かの心を元気付けることができるという経験は素晴らしいものです。」
あけぼの寮の子供達と職員は、基地から来た3人のゲストと一緒に、手作りの食事やゲーム、紙芝居、あけぼの寮による楽しい寸劇などを一日中、楽しんだ。
「このような活動をすることで、海兵隊員は兵舎から基地外に出て、日本の違った一面を垣間見ることができます。」とアーン伍長。「クリスマスのこの時期、(家族と離れて岩国基地に駐留している)海兵隊員の多くが寂しさを感じています。今日の訪問であけぼの寮の子供達を元気付け、他人の役に立つことで、海兵隊員自身も気持ちよく過ごすことができるのです。」
寄付することは、多くの人が年間を通じて分かち合える大きな寛容さを表す伝統になっている。この伝統は、国を超えて、支援を必要としている人に手を差し伸べることである。
「既に何名か、MAG-12以外の部隊からフードドライブについての問い合わせがあり、どうしたら参加できるかを聞かれました。」とアーン伍長。「クリスマスシーズンに寄付をしたくない人などいるのでしょうか?」
クリスマス気分をもっと広げようと、この次の日、アーン伍長、サリナス伍長、そしてマツムラさんは残りの缶詰を仕分けした。仕分けした缶詰は、キングス・チャペル・エルダリー・ホームと徳島県三好市社会福祉協議会の二つの施設へと寄付された。
このような寄付活動は、海兵隊員と日本人にお互いの国の様々な伝統を結びつけ、日米両国が共存するために必要な強い絆を築くことになる。
「こんなにうまくいくとは驚きました。」とサリナス伍長。「同じようなことをしたいと思っている人には絶対にお勧めします。クリスマスシーズンだけでなく、年間を通じていつでもやるべきです。」