米海兵隊岩国航空基地 -- 航空機が毎の舞台裏では別のミッションが常に動いている。ジェット機が滑走路に進入する前、あるいは航空機が降下を始める前から、航空管制官はすでにパイロット、部隊、各機関との連絡調整を行い、安全で統制のとれた運航を維持するために動いている。
米海兵隊岩国航空基地の航空管制官、オースティン・トマルキオ軍曹は、そのシステムの中で毎日、重要な役割を担っている。基地内の人の目にはほとんど触れないが、航空機が空域をどう移動するか、そして安全に目的地に到達できるかどうかに直接影響する仕事だ。
トマルキオ軍曹は、自分の仕事に対する最大の誤解は、ただパイロットと話しているだけだと思われていることだと言う。
「この仕事では、言葉一つひとつに意味があるんです」とトマルキオ軍曹。
航空管制官にとってのコミュニケーションとは、いわゆる「会話」ではなく、構造化、標準化されたものである。管制官は、パイロットが指示を混乱なく明確に理解できるよう、特定の言葉やフレーズを決められた方法で使用することが求められる。言い回しが少し変わるだけで意味が変わってしまうため、すべての交信は意図的かつ正確でなければならない。
その精度の高さが特に重要になるのが、複数の航空機が異なる条件下で同時に運航している岩国基地周辺の空域に、別の航空機が入り始める瞬間である。
Connecting the Skies: Air Traffic Control’s Key Role at MCAS Iwakuni
Photo by Lance Cpl. Donald Dugger
U.S. Marine Corps Sgt. Austin Tomarchio, an air traffic controller with Headquarters and Headquarters Squadron (HHS), Marine Corps Air Station Iwakuni, and a native of Nashville, Tennessee, observes aircraft movement on the flightline at MCAS Iwakuni, Japan, March 31, 2026. Sgt. Austin Tomarchio was the primary subject for a story about air traffic controllers stationed at MCAS Iwakuni. (U.S. Marine Corps Photo by Lance Cpl. Dugger)
「7110は、我々管制官にとってはバイブルのようなものです」とトマルキオ軍曹。
7110とは、アメリカ連邦航空局(FAA)が発行する規則書で、航空管制官が航空機を安全に管理するために従う主要なルールと手順をまとめたものである。トマルキオ軍曹によれば、これらのルールの多くは実際の事故を受けて作成、更新されたものであり、すべての交信においてこれらの手順を厳守することが求められる。
空域が航空機で混みあってくると、こうした構造と規律こそが管制官が交通の流れを安全に管理できる鍵となる。トマルキオ軍曹は、「通常のシフトでも、運航している航空機の数によって状況は一変する」と説明する。航空機が数機しかない日もあれば、短時間のうちに数十機が空域を出入りする日もある。
そのような時間帯には、管制官は絶えず交信し、順序を組み立て、リアルタイムで計画を調整しながら、安全でスムーズな運航の継続に努める。
「周波数上に無音の時間はありません」とトマルキオ軍曹は話す。
管制官は目の前の状況を処理しながら、常に数手先を読まなければならない。トマルキオ軍曹は、「15~20分先の計画を立てながら、同時に複数の航空機に指示を出し、状況の変化に応じて対応を調整することもある」と説明する。
業務がどれだけ忙しく複雑になっても、彼らの最優先事項はシンプルだ。
「全員を安全に着陸させること。それが私たちの最優先事項です」航空管制官 オースティン・トマルキオ軍曹
この安全に対するこだわりが、基地と周辺地域を直接支えている。安全に着陸する航空機一機一機が、基地が依存する訓練、任務、人員・物資の輸送を支えている。岩国基地は共用飛行場でもあり、全日本空輸(ANA)の民間航空機も、安全で統制のとれた同じ空域を利用している。
その水準を維持するために、管制官は複数の機関と連携し、さまざまな運航環境に適応しなければならない。トマルキオ軍曹が担う役割には、基地オペレーション部門、他施設、近隣空域との絶え間ない連携が求められ、交通の流れをスムーズに保つことが必要だ。
その連携は、米国人パイロットと日本人パイロット双方との協力にまで及ぶ。トマルキオ軍曹は、指示が明確に伝わるよう、交信相手によってコミュニケーションの方法を調整することがある。
岩国基地では多くの日本人パイロットが同じ空域で運航しており、彼らは英語を話せるとはいえ、母国語ではない場合も多い。誤解を防ぐため、管制官はゆっくり話し、重要な言葉を強調し、不必要な表現を避けることで、指示が明確かつ端的に伝わるよう工夫している。
その明確さは信頼と直結しており、信頼は航空管制において非常に重要な役割を果たす。パイロットは、特に高速で飛行し複雑な環境で運航する際は、明確で自信に満ちた指示を管制官に求める。
「管制官の話し方が不安そうに聞こえると、パイロットは『この人を信頼して大丈夫か?』と思ってしまいます」とトマルキオ軍曹は話す。
その信頼は、管制官とパイロットの間だけに存在するものではない。ATCチーム内にも存在する。すべての資格を持つ、ベテラン管制官であるスーパーバイザーは、業務を監視し、運用中のすべての持ち場を統括して安全を確保している。
トマルキオ軍曹はスーパーバイザーを「もう一つ
の目」と表現し、管制官の視野が狭まらないよう助けながら、全体の状況をコントロールし続けられるよう助けてくれる存在だと説明する。
業務負荷が高い状況では、スーパーバイザーが空域全体を俯瞰する一方、管制官は個々の航空機に集中する。スーパーバイザーは必要に応じて介入し、指示を出し、状況がエスカレートするのを防ぐために周波数を引き継ぎ、管制を行うこともある。
仕事内容は技術的に高度だが、トマルキオ軍曹は人間的な側面も同様に重要だと強調する。セクション内の士気と信頼が、管制席でのパフォーマンスに直接影響すると彼は言う。
「この職種において、士気は非常に重要なものだと考えています」とトマルキオ軍曹。
トマルキオ軍曹にとって、ミッションを支えることは航空機を管制するだけではない。周囲の人々が十分なサポートを受け、最高のパフォーマンスを発揮できる環境を整えることでもある。強固な職場関係が信頼を築き、それがより安全で効果的な運航に直接つながるとトマルキオ軍曹は話す。
トマルキオ軍曹は日々の業務を通じて、安全で効率的な航空運航の確保に貢献する一方、任務を継続させる信頼とチームワークの構築にも一役買っている。その役割は必ずしも目に見えるものではないが、基地を毎日機能させる人員、航空機、そして運用をつなぐための重要な役割を果たしている。