米海兵隊岩国航空基地 -- 2023年、27名の海兵隊員と海軍兵が、防げたはずの勤務外事故で命を落とした。米海兵隊岩国航空基地では、アクアティクス・ディレクターのジェニファー・アイヤーズさんがこの数字を改善しようと奮闘している。アイヤーズさんは水難救助技能講師も兼任している。海軍の任務においては、隊員が水中で自信をもって動けることや、その熟練度を向上させることが求められる。その方法を見つけることは、海軍に期待される重要な役割の一つである。強いストレスの中で冷静さを保つ方法を学び、水中で自信を持つことは、水陸両用戦闘部隊である海兵隊にとって極めて重要な側面である。
ジェニファー・アイヤーズさんは9歳のとき、隣人でチャールストン大学水泳チームの総合監督だったウィリアム(ビル)・キングさんから指導を受け、水泳を始めた。16歳になると、彼女自身が同年代の子や地域の人々に水泳の指導をするようになる。「小さな子どもたちが成長して水泳チームのメンバーになり、さらにコーチになっていく姿を見てきました」とアイヤーズさんは話す。「みんなに水泳を教えて、そこに大きな喜びを見出せたことで、自分の『生き
がい』を見つけられました」
日本には「生きがい」という考え方がある。仕事での充実感や家庭を築くこと、安らぎを与えてくれる趣味を見つけることなど、自分の人生の目的を探求することをいう。この概念は、自分にとって本当に大切なものを見つけ、目的と喜びに満ちた人生を送ることを奨励するものである。
「岩国に来る前は、チャールストン市のレクリエーション課で4つのプールを管理していました。それぞれが全く異なる地域にあり、人口構成も全く異なっていました」とアイヤーズさんは話す。指導することや他の人の人生にポジティブな影響を与えることに情熱を感じてはいたが、彼女はもっと何か、それ以上の何かを渇望していた。
この時期、アイヤーズさんは視野を広げようと、他の仕事をしようと考えていた。自分自身の水泳教室を開くことも検討したが、心の奥底では、それが望むものではないと分かっていた。「プロの水泳組織の巡回トレーナーになることも考えていました」とアイヤーズさんは話す。
その後、同僚の一人から、日本に移住して岩国基地のマリンコーコミュニティサービス(MCCS)で水泳部門ディレクターの仕事をやってみないかと持ちかけられた。この話を最初に聞いたときは不安を感じ、現実的ではないと思ったという。「私には家族がいるの。日本に移住するなんてできない。光栄な話だけど、日本には行かない」とアイヤーズさんは断った。しかし、当時は知る由もなかったが、この同僚からの提案が、その後の彼女の人生を左右することになった。
エアーズさんは常に日本文化に対する強い興味を持っていた。「実は、日本文化についてたくさんのことを学び、実際に体験してみたいと思っていました」とアイヤーズさんは話す。考え抜いた末、彼女はその職に応募し、日本行きを決意した。
「これまでの人生で得た水泳の経験を、もっと何か素晴らしい目的のために活かせると思いました。たとえそれが、数人がプールで快適に過ごせるように手助けをすることだけであってもです。」とアイヤーズさん。しかし、岩国基地に来たことで、彼女はすぐに新たな課題に直面することになる。
基地に来て最初の1ヶ月で海兵隊水中生存訓練(MCWST)を3回見学したアイヤーズさんは、この訓練には変革が必要だと感じた。彼女は、海兵隊員の水泳経験不足に衝撃を受け、隊員のための水泳クリニックを導入することを自分の次の使命にしようと決意した。「2023年7月に、現役隊員の水泳能力向上を目的とした週1回の水泳クリニックを開始しました。海兵隊本部がこの取り組みを知り、非常に喜んでくれました。それで、組織の訓練の中核部分として導入してくれることになったのです。」とアイヤーズさんは話す。
MCWSTプログラムの「生存」部分を改善する目標に取り組むため、アイヤーズさんは岩国基地からノースカロライナ州ジャクソンビルにある海兵隊基地キャンプ・レジューンに赴き、水中生存技能訓練(S3T)の開発と実施について話し合うと共に、マスタートレーナーの資格も取得した。S3Tは、海兵隊員が水に慣れ親しみ、不慮の事故による溺死を減らすために考案された段階的な水泳技能コースである。
アイヤーズさんは「私にとって最大の満足感を得られるのは、自分が得た知識と経験を隊員とその家族と共有できたときです」と話した。