米海兵隊岩国航空基地 -- 「音楽は人類に与えられた万国共通の言葉である。」とは、19世紀のアメリカの詩人、ヘンリー・ワーズワース・ロングフェローが数カ国を旅して異文化を体験した後に残した言葉。
1月30日、シンフォニア岩国のコンサートホールでマシュー・ペリー高校、岩国市立東中学校と川下中学校による日米交流合同コンサートが行われ、初の試みであるこのコンサートに出演した日米約80名の生徒達は言葉の壁や文化の違いを超えて、ロングフェローの言葉が正しいことを証明した。
このコンサートは、岩国基地と地域コミュニティのつながりを深めようと中国四国防衛局が主催し、山口県、岩国市、岩国基地の後援、防衛施設周辺整備協会、日米協会の協賛で行われた。
このコンサートを支援した岩国基地司令、ジェームス・スチュワート大佐も会場に訪れた。
「この一ヶ月、生徒達が成し遂げたことをとても誇りに思っている。」とスチュワート大佐。「生徒達が奏でる音楽のハーモニーは、様々な意味での日米文化の国際調和を反映している。生徒達の友情や純粋さの美しいハーモニーは、人々の関心を集める話題の政治的対立や経済的対立、文化的対立を超越するものだ。」
スチュワート大佐は、「コンサートに来てくれた観客の皆さんには、ひとつのコミュニティのメンバーとして団結するハーモニーを感じながら、リラックスして音楽を楽しんで欲しい。」と話した。
福田良彦岩国市長もこの日のコンサートに姿を現した。
福田市長は、「基地と地域社会の間で交流が行われるのはどのような形でもよいことだ。」と話した。
「コンサートのために合同で練習することも、ある種のコミュニケーション。」と福田市長。「このようなコミュニケーションを通じて、時間の経過と共によい関係が築かれると思う。」
コンサートの前日まで、日米の生徒達は互いの学校を行き来して練習を重ねた。言葉の壁はあったものの、音楽を一緒に演奏することで、コミュニケーションはうまく取れたようだ。
コンサートに訪れた観客ははおよそ800人。生徒達が演奏したのは、ワーグナーのクラッシックから、合唱曲「夢の世界へ」(芙龍明子作詞、橋本祥路作曲)やその他のジャンルまで幅広いものだった。コンサートのクライマックスでは、川下中学校の野球部員も加わって、ビートルズの「ヘイ、ジュード」を全員で合唱した。
「アメリカ人と日本人が一緒にコンサートに参加できるのは友情の証だから、とても大事なことだと信じている。」と話すのは、コンサートに参加した、マシュー・ペリー高校のアリシア・サイキさん。「このコンサートのように小さなことが、大きな事を成し遂げることにつながると思う。」
サイキさんはこのコンサートが行われるのが最後にならないようにと願っている。
コンサートが始まる前、何人かの生徒が不安な気持ちを打ち明けてくれた。
「コンサートに出るのは、少し怖くて不安だった。」と話すのは、「ヘイ、ジュード」で合唱に加わった、岩国市立川下中学校の野球部員、キムラケイスケさん。キムラさんは、「アメリカ人は大きい人が多いので、それでなんだか不安だった。」
キムラさんは、「コンサートに出演できてうれしい。アメリカ人の友達ができて楽しかった。」と話した。
中国四国防衛局は、今後も基地と地域社会とのつながりを強めるためのイベントを企画している。
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1月30日にシンフォニア岩国で行われた日米交流合同コンサートで演奏するマシュー・ペリー高校と岩国市立東中学校の生徒達。初の試みとなったこのコンサートは岩国基地と周辺地域の住民との交流を深めようと、中国四国防衛局が主催して行われた。
写真2
1月30日にシンフォニア岩国で行われた日米交流合同コンサートで、マシュー・ペリー高校と岩国市立東中学校のバンドをリードする、ペリー高校の音楽教師、アレン・ストローブリッジ先生。
写真3
1月30日に行われた日米交流合同コンサートでコントラバスを演奏する、岩国市立東中学校のミチシタユイさん。このコンサートは、岩国基地と周辺住民の交流を深めようと、中国四国防衛局が主催した。