米海兵隊岩国航空基地 -- 9月23日、岩国基地住人が広島県熊野町へ出かけ、毎年恒例の筆まつりを楽しんだ。
この旅行は岩国基地、文化適合プログラムの企画で実施され、基地隊員やその家族が基地外で日本文化を体験する機会を与えている。
参加した基地住人は、手作りの筆を売る店が軒を連ねる道を散策した。筆作りに必要な材料は、ヤギ、馬、イタチ、鹿、狸などの毛で、ほとんどが中国または北アメリカから輸入されている。まつりでは習字コンテストも実施されており、基地住人の中にはこのコンテストで日本人に勝ったアメリカ人もいた。
「妻と一緒に習字コンテストに参加しましたが、楽しかったです。素敵なイベントでした。」と話すのは、海兵第152空中給油輸送中隊(VMGR-152)、整備管理下士官担当官のビクター・マンチーニ一等軍曹。「日本人は、私達がこの祭りに参加することを本当に喜んでくれているように感じます。私達のところへ来て、色々話しかけてくれました。このようなお祭りに私達が参加することで、私達が日本文化を気にかけていることを日本人に知ってもらうことができました。私達は日本に駐留しなければいけないからここにいるのではなく、日本文化を大切に思っているからなのです。」
熊野筆の歴史は江戸時代の終わり、18世紀の後半にまでさかのぼる。熊野の人々は農業だけで生計を立てていくのが難しくなったため、奈良地方から筆と墨を仕入れて、それを農閑期に売ることを始めた。
このため、熊野の人々と筆は密接なつながりを持つようになった。熊野筆の公式博物館、「筆の里工房」によると、現在、筆を作る職人である筆司(ふでし)は約1,500人おり、日本国内で生産される筆の80パーセントが熊野で生産されているという。
「筆が作られていく様子を実際に見学できるのは、大変珍しい体験でした。」と話すのは、文化適合プログラム担当のワタナベ・ミキエさん。「職人によっては40年から50年の筆作りの経験があり、日本政府から伝統工芸士として認められている人もいます。」
筆通りや神社を散策した後、基地住人は筆の里工房を見学し、そこに展示されている世界最大の筆、筆の表意文字、習字のモニュメント、アート・スタジオ、ギャラリーとミュージアムショップなどを楽しんだ。
「色々な筆を見たり、歴史を学んだり、素敵なお土産を買ったり、とても楽しかったです。」と話すのは、岩国基地、MCCS図書館司書のフェニックス・ウィルキンスさん。「私達はふるさとから遠く離れた外国にいますから、このようなツアーに参加することで、異文化に囲まれた中で快適に過ごすことができます。」
以前、MCCS文化適合プログラムは基地内で習字クラスを開催しており、そのクラスでは参加者が書道、漢字、カタカナを学んでいた。
「習字はただ、書くことだけに焦点を置いているのではありません。精神に集中し、書くことで自分の心を表現することなのです。瞑想のようなものです。」とワタナベさん。「伝統は世代から世代へと受け継がれ、日本人は習字と共に成長します。職人は伝統手法の精神を維持しているのです。」
このような文化講座やツアーでは、日本の伝統工芸を体験したり、日本の歴史を学んだり、外国人の興味を惹くことで、隊員やその家族が外国の生活様式に慣れる手助けとなる。
「この祭りに参加すると、日本人がどのような暮らしをしていているのか、どんな文化を持っているか、また、歴史についても知ることができます。」とマンチーニさん。「楽しめることはたくさんありますから、このような文化体験ツアーは基地住人に是非お勧めします。外に出ない海兵隊員は、時間を無駄にしていると思います。」
MCCS、文化適合プログラムでは、このようなツアーを他にも主催している。