米海兵隊岩国航空基地 -- 初来日した「大統領直属」米海兵隊軍楽隊が5月19日、シンフォニア岩国でコンサートを行い、地元住人と基地住人は特別な演奏を楽しんだ。
コンサートのチケットは完売。薄暗い照明の中、赤い制服に身を包んだ海兵隊軍楽隊員が演奏しながらステージに入ってくると、約1200人の観客の耳にそのメロディーが入ってきた。
200年以上の歴史を誇る海兵隊軍楽隊が海外で演奏することはほとんどなく、来日も今回が初めて。軍楽隊が外国で最後に演奏したのは2001年のスイス。このため、今回の来日ツアーは歴史的かつ非常に珍しい。
岩国市長夫人の福田朋江さんは「『大統領直属』軍楽隊が来日するのは今回が初めてだと聞きました。演奏はダイナミックで、心温まるものでもありました。」と話す。フクダさんはまた、「演奏者と観客が音楽を通じてつながり、一つになったと感じました。」とも付け加えた。
「220年にわたる米海兵隊軍楽隊の歴史の中で初来日したということは、今日、私たちが出会った観客の皆さんは軍楽隊を初めて見るということになります。」と話すのは、第28代軍楽隊長のジェイソン・フェティッグ大佐。「今回のツアーでは4か所を訪問し、演奏します。この来日ツアーコンサートは本当に特別なものだと感じています。」
軍楽隊の日本滞在は8日間。最初のコンサート開催地となる横浜では過去にも共演経験のある陸上自衛隊音楽隊と共演した。
「横浜での初コンサートは陸上自衛隊中央音楽隊と共演し、ステージ上には約120人もの演奏者がいました。」と話すのは軍楽隊のトロンボーン・セクションリーダー、クリス・クラーク先任上級曹長。「コンサートでの共演は自衛隊の皆さんとのつながりを感じることができ、とても素晴らしいものでした。自衛隊音楽隊とは以前にもワシントンD.C.で共演経験があります。ですから今回は私たちが日本に来て、日本で自衛隊と共演できたことは素晴らしいと感じています。」
横浜の後は金沢で演奏。その次の浜松では、吹奏楽指導者を対象とした日本吹奏楽指導者クリニック(ジャパン・バンド・クリニック)に出演した。最後の演奏地となる岩国ではコンサートチケットは完売。
「歌は聞いている人の耳から入って直接心に届きます。軍楽隊の皆さんは日本を気に入ってくれているように感じました。」と話すのは、シンフォニア岩国責任者のワカバヤシ・ヒデキさん。ワカバヤシさんはまた、「観客がその音楽を好きになれば、演奏している人たちも日本を好きになってくれる。それが巡り巡って、二つのグループが一つになり、同じ気持ちを分かち合えるようになる。」とも付け加えた。
日本の西側に位置する岩国市には岩国基地があり、第12海兵飛行大隊(MAG-12)、第5空母航空団(CAW-5)、海上自衛隊第31航空群が駐留している。
「日米の素晴らしい同盟関係は、私たち全体の成功にとって重要です。」と話すのは、岩国基地司令、リチャード・ファースト大佐。「私たちは岩国でこの同盟関係を支援し、岩国駐留の米海兵隊、米海軍、海上自衛隊の即応性維持のために努力しています。それと同時に、岩国市民にとって最高の隣人になろうと努力しています。今日のようなコンサートはお互いを尊敬する気持ちや興味を通じて楽しい時間を過ごし、既にある素晴らしい関係の維持に役立つものです。フェティッグ大佐やワカバヤシさんをはじめ、今日の演奏を聞く機会を与えてくださった関係者の皆さんに感謝申し上げます。」
アメリカでの軍楽隊の主な任務は大統領や海兵隊総司令官のための演奏や、ワシントンD.C.での記念行事での演奏など。軍楽隊はまた、「忠誠」、「星条旗よ永遠なれ」、「錨を上げて」などの古くからある行進曲を演奏することでも知られており、これらの行進曲の多くはスーザが作曲したもの。
「海兵隊軍楽隊とその歴史に関することで特別なのは、有名なアメリカ人指揮者であり作曲家の海兵隊軍楽隊の第17隊長、ジョン・フィリップ・スーザです。」とフェティッグ大佐。「スーザは1880年から1892年まで隊長を務めましたが、この間に行進曲の作曲家として広く知られるようになりました。興味深いことですが、ここ日本ではスーザはとても人気のある音楽家です。実際、日本スーザ協会という団体があり、スーザの行進曲には熱心なファンもいます。彼の音楽はアメリカを超えて世界中で知られています。今回の日本ツアーではスーザの行進曲から数曲演奏しました。日本でのスーザの受け入れられ方は驚嘆すべき以外の何物でもありません。」